マダニが媒介する感染症、SFTS =「重症熱性血小板減少症候群」が 2025 年、 これまでに全国から報告された患者数は 91 人と なりました。これは、 これまでで最も多かった 一昨年 の同じ時期を上回ったことが、国立健康危機管理研究機構のまとめでわかりました。 地域別に見ると高知県で 11 人 、 大分県で 8 人 、 島根県と長崎県で 7 人 、 熊本県で 6 人 、 三重県、岡山県、山口県で 5 人 ずつ などとなっています。 NHK が各地の自治体に取材したところ、静岡県、愛知県、三重県、香川県、宮崎県の 5 つの県で少なくとも 9 人が死亡したと報告されています。 専門家は「感染が確認されている地域が広がりつつある」として対策を呼びかけています。SFTS は 2011 年に中国で初めて報告された新興感染症で、主に東アジア、東南アジアで感染例が報告されている疾患です。感染すると発熱、消化器症状、血小板数の減少などがみられ、重症の場合は死に至ることもある病気です。
SFTSは、 SFTS ウイルスを保有するマダニに吸血されることにより感染 します。 シカ、アライグマ、ノウサギといった哺乳動物が感染します が、 感染した動物の多くは発症せずにウイルスを保有 したまま です。そしてそのウイルスを保有した動物を新たなマダニが吸血することにより、ウイルスが伝播していきます。SFTSを発症したイヌやネコといった伴侶動物からヒトへの感染や、ヒトからヒトへの感染も確認されています。マダニを介さずに、感染した動物の血液、 体液などとの接触 に より感染 がひろが ることがあり ます。 飼い猫、飼い犬への口移しでの餌を与える行為は避けましょう。 また、イヌやネコを散歩させた後は体表をよく観察し、ダニがついていないか確認しましょう。イヌ・ネコが感染すると発熱・元気消失・嘔吐・黄疸などの症状を示し、重症化して犬は約 3 割、猫は約 6 割が死亡しています。
SFTS の予防として、山や草むらでの屋外作業の際には長袖長ズボン・帽子・手袋等を着用して肌の露出を減らす ようにし、マダニに吸血されないようにしましょう。 マダニに刺されたら、虫体が吸血して大きくなってから気づくことが ほとんど です。マダニに吸着されてから の時間が短いほど、除去は容易です。先のとがったピンセットで口の部分をつかんで、引き抜くことができます。そのとき、 マダニの口の部分が皮膚に残らないよう慎重に取りましょう。また、 マダニの腹部を押さえると、 マ ダニの体液が皮膚内に流入することがあ るので危険で す。(厚労省・NHK のホームページ参照)