ff 診察室こぼれ話

便秘を訴える人は多く、悩んでいる方も多いと思います。これ は排便回数の問題ではなく、便の硬さや排便困難感があるかどう かが便秘の診断基準になります。毎日排便があっても便が硬かっ たり、腹痛を伴うようなら便秘と診断されます。3-4 日に1 回の バナナ状の便で爽快感があれば問題はありません。便秘には腸管 の病気や異常がない機能性便秘が多いです。 大腸を通過する時間が長過ぎて大腸で必要以上に水分が吸収 されて便が硬くなったり、直腸まで便が下りてきているのに何ら かの原因で直腸の知覚が低下すると便意が生じず、直腸に便がた まってしまい、硬くなります。その結果、排便が困難になります。 便秘は高齢者に多い病気です。20 代から60 代前半までは女 性に多いですが、65 歳以上ではほとんど性差がなくなります。 高齢者に便秘が多いのは、加齢とともに大腸の動きがゆっくりに なって、便が大腸を通過する時間が長くなるからです。また、直 腸の知覚神経が鈍くなることも関係があります。月経のある女性 が月経前に便秘するのは、女性ホルモンのプロゲステロンの影響 と考えられます。プロゲステロンは腸の蠕動運動を抑える作用が あるのと妊娠に備えて体に水分を蓄える働きがあるので、腸管内 の水分が不足します。 また、腹壁の筋肉量が少ないので便を押し出すときに必要な腹 圧が低く、排便困難になることも一因です。

便秘の改善には排便習慣の見直しが必要です。便意があったら 我慢せずにトイレに行ってください。便意は我慢するといったん 遠のきますが、そうすると大腸の中でさらに水分が吸収されて便 が硬くなり排出しにくくなります。一方、便意がないのにトイレ に行っていきむ必要はありません。トイレで強くいきむと、直腸 や肛門粘膜が外に飛び出す臓器脱が起こってしまうことがありま す。また、食生活の見直しも肝要です。食物繊維の摂取量を増や すことで、便秘が改善することもあ ります。食物繊維には水に溶けやす い水溶性と溶けにくい不溶性があり ますが、便秘が改善される可能性が あるのは、水溶性食物繊維です。里 芋、海藻、果物などに水溶性食物繊 維が多く含まれています。大豆やゴ ボウには両方の繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維の 多い食品を増やして便秘が改善したら継続してみてください。改 善しない場合にはかかりつけの医療機関を受診してください。 最近では下剤にもさまざまな種類があり、腸からの水分吸収を妨 げる作用のある穏やかな作用の酸化マグネシウム製剤、市販薬に も多い刺激性下剤(センノシド、センナ、アロエなど)がよく使 われます。難治性の便秘には大腸に何か別の原因が隠れているこ とがありますので、ご相談してください。 (健康情報誌こまどから参照)

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あれこれ情報版

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