ff 診察室こぼれ話

心臓が悪くなり、心不全になったという話はよく耳にされるか と思います。心不全というのは心臓のポンプ機能が低下して全身 の臓器が必要とする血液を十分に送り出すことができなくなる状 態です。心不全はひとつの病気ではなく、心臓のさまざまな病気 (心筋梗塞、弁膜症、心筋症など)や高血圧などにより負担がか かった状態が最終的に至る"症候群"なのです。心臓から血液が全 身にうまく回っていかなくなると、心臓はなんとか血流を保とう として、たくさん血液を溜め込むようになり、左心室の上流にあ る肺の血管に血液がうっ滞するようになります。こうなるとむく み(浮腫)や動くと苦しいといった症状が現れるようになります。 このように長い期間にわたって心臓に負担がかかる状態が持 続すると心不全の状態になります。心不全になる原因としては、 今までは心臓のポンプ機能の低下、心臓の収縮する力の低下であ ると考えられてきました。しかし、最近の研究で特に高齢者では 収縮力が保たれているにもかかわらず、心不全になることが多い ということがわかってきました。高齢者の心不全の半数は、左心 室が硬くて広がりにくいために、心不全症状を呈する「拡張機能 不全」というタイプの心不全であることが分かってきたのです。 簡単にいえば、心臓へ血液が戻る力が弱くなっているため、うっ 血が起こり、むくみなどの症状が出てくるのです。実際には、拡 張能を正確に評価することが難しいため、「収縮機能が保たれた心 不全」(拡張不全)と呼ばれています。

従来の心不全である「収縮機能の低下した心不全」(収縮不全) と同じように予後が悪いということが疫学調査などから明らかに なっており、収縮機能が正常だからといって、決して安心はでき ません。拡張不全は、収縮機能は保たれているため、症状が出に くいのが特徴です。収縮不全の場合、胸部X 線で心陰影が大きくなっているなどの所見が 認められますが、拡張不全では、こうした所 見がはっきりしないことも多いのです。確定 診断には、心エコー検査のほか、血液検査の 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の測定が 決め手になります。BNP は、心臓の筋肉から 出るホルモンで、心臓に負担がかかっているとき、心臓が楽にな りたくて出すいわばSOS のサインといえます。治療は薬物療法が 中心となります。血液のうっ滞に基づく症状をとるために利尿薬 や血管拡張薬などが用いられます。超高齢社会の日本では、潜在 的な拡張不全の患者さんはかなり多いと推定されます。高齢者、 女性に多く、高血圧や糖尿病・肥満のほか、心臓の病気などの基 礎疾患を持っている人、とくに身体活動度の低い人に多いため、 症状に気づきにくく、放置してしまうケースも少なくありません。 わずかなサインも見逃さず、いつもと違う症状が現れたら、早め にかかりつけ医に相談して、検査を受けるようにしましょう。 (日本心臓財団のホームページから参照)

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