ff 診察室こぼれ話

今回は腸にできる憩室の話です。憩室とは、腸の壁の脆い部分 が、腸の外側へ向かって袋状に飛び出してできたくぼみのことを 言います。大腸に限らず、胃、十二指腸や小腸などにもできます が、今回は、比較的頻度の高い大腸憩室と、その合併症の1 つで ある憩室出血、と憩室炎について、お伝えします。 憩室は、腸管内圧が上昇することによって形成されます。後天 性のものが多く、食物繊維摂取量の不足や、加齢に伴う大腸の衰 え、便秘による腹圧の上昇などが要因として挙げられます。なか でも食生活の影響は大きく、食物繊維が少なく肉中心の食事をよ くする習慣の人に多く発生します。 憩室は1 つだけの場合もあれば、大腸内に複数形成されること も多く、また年齢が上がるにつれて保有率は増加します。 大腸憩室があるだけでは特に症状は出ませんが、細菌感染などが 原因で炎症を起こすことがあります。ちなみに日本人の場合、大 腸の中でも右側の結腸にできることが多く、年齢が上がるにつれ て左側の結腸にも発生する確率が高くなるといわれています。 日本人の80%以上では42~60%の人に大腸憩室があるといわれ ています。 大腸憩室を有していてもほとんどの人は無症状ですが、1 年間 で0.2%の人が出血し、その3 倍の人に大腸憩室炎が起こります。 大腸憩室出血は、腹痛を伴わない突然の出血が特徴です。 大腸憩室炎になると、腹痛、発熱が出ます。これは、大腸憩室の 中で細菌が繁殖して、炎症を引き起こすことが原因で、憩室内に 便が入り込んだりすることがきっかけとなります。

憩室出血に対しては、大腸内視鏡検査でどこから出血しているの かを確認して止血します。出血部位に凝固剤を入れたり、患部を 結紮したりします。 憩室炎に対しては、軽症であれば、経口抗菌薬を飲んで治療し ます。しかし、大きくなって膿瘍といって膿がたまっていたり、 患部が破裂して腹膜炎になっている場合は手術になります。 根本的には、大腸憩室ができないように心がけることが重要で す。年齢的な要因でできることもありますが、食物繊維が少なく 動物性のタンパク質や脂肪が多い食事はリ スクを高めるといわれているので、食物繊 維を多く含む食べ物を積極的に取り、でき るだけ便秘になりにくい体質をめざすこと が予防につながります。このように食生活 に注意していると治療後の再発予防にもな ります。さらに、大腸がん検診で大腸憩室 が見つかるケースもあり、定期的に受けて早期発見につなげれば、 リスクに備えることができます。 (ドクターズファイルより参照しました)

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あれこれ情報版

新型コロナウイルスの予防接種について、みなさまに はご心配とご不安をおかけしております。自治体によって時期や 対象、方法などが様々で、神戸市からの指導も直前まで明確化せ ず、当院でも戸惑っているところです。 5 月17 日(月)からは75 歳以上の方を対象にいよいよ 予防接種が始まります。ご予約いただいたみなさまには前日に確 認のお電話をさせていただく予定です。接種時は、他の診療はで きませんのでご了承ください。 万が一、接種にキャンセルが出た時は、決められた優先 順位順にワクチンをお回しします。その節は突然「本日接種のた めに来院できますか」とお電話する可能性があります。一日でも 早く一人でも多く接種ができるよう努めて参ります。 ゴールデンウィークは長崎県の五島列島へ旅行に行く 予定でした。しかし連日入って来る予防接種の予約表を見ている と、もし私たちに何かあったら、このみなさんはどうなるんだろ う・・と思い、全てキャンセルしてしまいました。今夏・・来年・・ 行ける日がくるだろうか・・・