ff 診察室こぼれ話

気温や湿度が上昇してくるこれからの季節、調理をされる方は特に、サルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌など細菌性の病原菌とする食中毒が気になり、また冬にはノロウイルス、ロタウイルスなどウイルス性の胃腸炎、季節性インフルエンザを心配される方も多いのではないでしょうか。今世間を騒がせているコロナウイルスについてはまだまだ解明されていないことが多いようです。

人の健康に影響を与える病原微生物には、細菌、ウイルス、真菌原虫、寄生虫があります。これらは非常に小さく、肉眼で見ることはできません。大きさは大きい順に真菌、細菌、ウイルスで、細菌は大きさを表すために1 ㎜の1/1000 の単位(マイクロメートル)が使われ、光学顕微鏡で見ることができますが、ウイルスはそのさらに1/1000(ナノメートル)の単位が使われ電子顕微鏡でしか見ることができません。真菌は細胞よりもやや大きく、糸状をした菌糸と細菌のような形の酵母用真菌の2つの形態をもっています。

細菌は糖などの栄養と水があり、適切な環境のもとでは、生きた細胞がなくても自分自身で増殖することができます。一方、ウイルスはたとえ栄養と水があったとしても、細菌とは異なり、ウイルス単独では生存することができません。ウイルスは、自分自身で増殖する能力が無く、生きた細胞に助けられて、つまり他の生物を宿主にして自分自身を複製することでのみ増殖することができます。ウイルスが感染した細胞は、ウイルスが増殖して大量に細胞外に出てくるため死滅します。そして、その増殖したウイルスがまた他の細胞に入り込んで増殖を続けるため、宿主の細胞が次々と死滅していき、やがて生物は耐えることができずに死に至るわけです。すなわち、ウイルスにとって、他の個体へ感染させ続けることが生き残るための必須条件です。帯状疱疹、おたふくかぜ、はしか、ノロ、C 型肝炎などがウイルスによって引き起こされるものです。

真菌はその胞子が空気中や土壌中に存在することが多いため、感染症は通常は肺や皮膚から始まります。真菌の増殖は生息環境の応じて有性生殖と無性生殖のどちらも可能で、そのため、しぶとい生物といえます。代表的なものが、水虫の原因となる白癬菌やカンジダ症などです。しかし人の免疫機能が低下していない限り真菌感染症が重症化することはまれです。

細菌の治療は抗生物質が有効ですが、ウイルスに対しては抗生物質は効力はありません。インフルエンザウイルスなどには有効な抗ウイルス剤があります。感染症に対する基本的予防策は、まず清潔を保つことのほか、免疫力を低下させないことが大切です。そのため、栄養バランスの良い食事、基礎体力をつけること、規則正しい生活を過ごすことが基本となります。

(東邦微生物病研究所のホームページから参照)

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あれこれ情報版

みなさま、緊急事態宣言のもといかがおすごしでし ょうか。2 月に初めてコロナウィルスの感染拡大に ついてニュースを聞いて以来、重大な事態となってしまいま した。 当院ではできるだけ感染のリスクを減らし、みなさ まに安心して医療を受けていただけるよう、さまざ まな取り組みをしております。ひとつには玄関の自動扉を解 除しております。呼び鈴を鳴らしていただき、扉の外で検温、 呼吸器症状がないかをお聞きしてから中に入っていただい ております。 また、コロナウイルス感染の疑いがありそうな時は新型コ ロナウイルス専用健康相談窓口(078-322-6250)にお電話し ていただき、感染の可能性が低い場合のみ裏扉から入って別 室診療を受けていただきます。どうしても診療所内に立ち入 りたくないという方へもできるだけの配慮をさせていただ きます。どうぞご相談ください。みなさま方、医療者の安全 を守るためといっても、たくさんのご不便ご迷惑をお掛け致 しますが、事態が収束するまで今しばらくご理解ご協力をよ ろしくお願いいたします。