ff 診察室こぼれ話
一般に、便が出ない状態のことを「便秘」と言います。 日本内科学会の定義では、便秘とは「3 日以上排便がない状態」 とされています。 便秘の原因には「器質性」と「機能性」の2 種類があります。まず、器質性便秘症とは大腸の炎症やがん、手 術後の癒着などが原因となって、消化管に通過障害が起こってい るケースです。これに比べて、一般的な便秘症として最も多いの が機能性便秘で、便が作られる過程や排便の仕組みに障害がある ケースで、大きく3 種類に分けられます。
一つ目は弛緩性便秘で、大腸の運動が低下したために起こりま す。腸管の緊張が緩み、便を押し出すぜん動運動が十分に行われ ないため、大腸内に便がたまる。その結果、便から水分がなくな っていき、やがてカチカチに硬くなる便秘で、といいます。
二つ目は痙攣性便秘で、副交感神経が過度に興奮することによ って腸管が緊張し、便がうまく運ばれず、うさぎのフンのように コロコロとした便になります。精神的ストレスや過敏性腸症候群 などが原因です。三つ目は、直腸性便秘で、便が直腸に到達して も排便のサインが起こらず、直腸に便が停滞してしまう状態のこ とで排便を我慢することが原因となるほか、高齢者や寝たきりの 人に多いといわれています。
健康な人の場合、便の80%が水分でできています。そして、残り20%のうち、1/3 が食べたもののカス、1/3 が生きた腸内細菌、残りの1/3 が腸粘膜の剥がれ落ちたものでできています。
便秘にならないための予防は、一般的には、「運動・マッサージ」「食べ物」「薬」と言われています。腹筋運動は腹部の血行を促進して胃腸の働きをよくし、自律神経にも作用して排便を促してくれます。ぜひ、日常的に腹筋を鍛えることを意識しましょう。食べ物の食物繊維は、腸のぜん動運動を活発にし、便を排出しやすくしてくれます。穀物、いも類、豆類、ひじき、寒天、果物など、食物繊維を豊富に含む食品をしっかり摂りましょう。また、水分の摂取量が少ないと便が硬くなり、排出しにくくなります。こまめに水分を摂ることを意識しましょう。
特に、朝、水や牛乳などの水分をコップ1杯摂る習慣をつけると、腸が目覚め、活発に動き出すようになります。
どうしてもこれで改善しなければ服薬治療となります。薬の種類には2種類あります。一つ目は腸の内容物を軟らかくし、排泄を容易にするなど物理的に働く機械的下剤です。もう一つは腸のぜん動を亢進させる刺激性下剤の二つに大きく分けられます。祖刺激性下剤の場合は、腸の動きを活発化させますので、どうしても腹痛を伴ってしまうという弱点があります。
最近、海外で既に市販されているポリエチレングリコール製剤が国内でも使用できるようになりました。浸透圧効果で腸管内の水分量を増やして便の容積を増やして排便させる薬で、幅広い年齢層に使うことができます。(kracie のホームページを一部参考)
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穏やかな天候の中、2020 年がスタートしました。今年もみなさまの健康を支援して参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
年末からインフルエンザが大流行しています。12 月30 日、31 日と午前だけ診療をしましたが、#7119 で当院を紹介されていたようで、初めての患者さんがたくさんいらっしゃいました。
阪神淡路大震災から今年で25 年、四半世紀になります。あの日のことは今だにはっきりと覚えておられる方も多いことでしょう。しかし、若い世代の中には、神戸ルミナリエが震災で亡くなった方々の鎮魂の意味が込められていることを知らない人が結構おられるようです。震災の記憶、忘れてはいけない教訓だと思います。
因みに当院はこの地に開業して34 年目にして、ちょうど建て替え工事中だったため、誰も住んでいなかったことが幸いでした。
