ff 診察室こぼれ話

正常な皮膚は、皮脂、セラミドなどの細胞間脂質、尿素などの天然保湿因子によって皮膚のうるおい(水分量)が保たれています。健康な人の皮膚は、天然保湿因子やセラミドによる角質層の水分を保持する機能と、皮脂膜の水分蒸散を防止することにより、なめらかで潤いのある皮膚が保持され、高いバリア機能を維持しています。一方、乾燥した皮膚では正常な皮膚と比較してこれらの因子が減少して、皮膚の表面にある角層が構造異常を起こしています。このことによって、皮膚の表面から水分が蒸散しやすく、角層の水分量も減少した状態となっています。乾燥皮膚では外界からの異物(アレルゲン・細菌)が皮膚の中に侵入しやすくなります。

加齢などにより皮脂、セラミド、尿素の分泌が低下すると、かさついた乾燥肌になります。これを老人性乾皮症といいます。空気が乾燥する秋から冬にかけて症状があらわれることが多く、腰まわりや太もも、すねなどによく見られ、カサカサとして粉が吹いたような状態になります。乾皮症の状態が続くと真皮に存在するかゆみの知覚神経線維が表皮に伸びていき、ちょっとした刺激にも過敏に反応し、赤みやかゆみが起こります。かゆみが治まらず、さらに皮膚をかくことで炎症を引き起こし、皮脂欠乏性湿疹や、かき壊して悪化した貨幣状湿疹へ進行してしまいます。

高齢者の約95%が老人性乾皮症といわれており、その半数がかゆみを訴えています。皮脂分泌量の変化は男女で異なり、男性は60 代、女性は40~50 代にかけて急激に減少していきます。高齢者特有の要因として本来脱落しているべき角質細胞が表皮に残り、角質層が厚くなっていることが乾燥の助長につながっています。また、皮脂腺から分泌される皮脂の量は、加齢によって減少していくホルモンによってコントロールされているため、年齢とともに皮脂の量も減っていくのです。さらに、生活環境も影響しており、暖房などによる室内の乾燥、入浴時の洗いすぎなども要因となります。若年者でも睡眠不足、紫外線、体調不良、栄養バランスの乱れなどの生活習慣の影響やストレスも乾燥の一因になります。糖尿病や透析治療をしている人も皮膚の乾燥が起きやすく、皮脂分泌量が少ない乳幼児や小児も乾燥が起こりやすいです。

これらの治療に用いられる保湿剤には、ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤、ワセリンがあります。ヘパリン類似物質含有製剤や尿素製剤は吸湿して角層に水分を付与する作用があり、ワセリンは、角層に水分を付与する作用はなく、油分が被膜となって皮膚を覆うことで、皮膚の水分蒸散を防ぎます。しかし、乾燥肌で炎症(湿疹)を伴う場合は保湿剤に加えてステロイド外用剤で炎症を抑えます。(マルホ株式会社、千葉市医師会ホームページから参照)

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あれこれ情報版

こども医療費受給者証が7 月1 日から、高齢受給者証、後期高齢者医療被保険者証が8 月1 日から新しいものに更新されます。お手元に届きましたら、窓口にご提示いただけますようよろしくお願いいたします。

熱がある、身体がだるい、座っていられないなど、待合室で待っているのがお辛い方は、ベッドにて横になってお待ちいただけるようご案内いたしますので、ご遠慮なく受付にお申し出ください。

いよいよ夏が本格的にやってきます。毎年のことですが、熱中症にお気をつけください。のどが渇いていなくてもこまめに水分をとるようにしましょう。体調が優れないようでしたら、点滴などの治療が必要なことがありますので我慢せず、すぐに受診をするようにしてください。

当院のお盆休みは以下の通りです 8 月11 日(日)から8 月18 日(日) 8 月19 日(月)より平常通り診療いたします